抄録
草津白根火山は現在も活動を続ける活火山であり地質学・地球化学・岩石学・測地学を始め様々な分野での研究がなされている.本研究ではその中でも未解明な部分が多い草津白根火山最初期の活動で噴出した松尾沢噴出物に焦点を当て偏光顕微鏡による薄片観察とEPMAによる鉱物化学組成分析を基軸にそのマグマ生成過程の考察を試みた.それによって松尾沢噴出物を斑晶鉱物量比,石基組織の特徴及び各サンプルの分布から2つのユニットに分類することができた.また斑晶鉱物量比と鉱物化学組成からこれらユニットはマグマ組成が苦鉄質寄りになってく傾向が見られた.また,斜長石斑晶に着目すると汚濁帯を持つ斜長石と清澄な斜長石の共存,化学組成における逆累帯構造及びバイモーダルな分布から,松尾沢噴出物を形成したマグマの成因としてマグマ混合が関与したと考えられる