抄録
輝石は、Caに富む単斜輝石(空間群C2/c)、Caに乏しい単斜輝石いわゆるピジョン輝石(C2/c, P21/c)、プロトエンスタタイト(Pbcn)、低温型斜方輝石(Pbca)が古くから知られていた。近年になって、低温型斜方輝石と構造が異なるものの同じ空間群は同じである高温型斜方輝石(Pbca)の相平衡図上での安定領域が明らかになった。しかし、この高温型斜方輝石は低温では低温型斜方輝石への相転移するため、それらの区別がつかない。そのため、天然下での報告例は組成分析による報告が数例あるのみである。本研究では、溶け残り鉱物を含む微隕石中(TT001c5-48)に、空間群が同じにもかかわらず組成の異なる二種類の斜方輝石が共存することを見出したのでそれについて報告を行う。