抄録
地球への天体衝突で発生するイジェクタの放出過程を明らかにする手段として、衝突起源物質である衝撃変成石英の平面変形構造 (Planar Deformation Features ; PDFs) がある.
本研究では,チクシュルーブ・クレーター内の掘削試料 (YAX-1) の複数層準で衝撃変成石英のPDFsの方位角を測定し,その頻度分布を調べた.その結果,低圧から高圧まで幅広い圧力条件を経験した石英粒子が数日間にわたって衝突クレーター内部及び近傍に降下してきたことが明らかになった。 講演では,その詳細及びクレーター内部の結果を衝突地点近傍のキューバにみられるPDFsの鉛直分布を比較することによって,衝突クレーター内外に堆積した衝撃変成石英の鉛直分布及びPDFsの特徴やチクシュルーブ・クレーター近傍におけるイジェクタの経験圧力を明らかにし,その堆積過程について議論する.