明延鉱山の多金属性の原因を調べるために鉱石試料の分析を行い、インジウムの検討結果について報告する。本研究では白金脈・智恵門脈・銀星脈・竜星脈で各レベルのサンプルを用いて閃亜鉛鉱中に含まれるインジウム量、ロケサイトの産状および緑泥石の分析から明延鉱床群のインジウムの生成環境を検討することを目的とした。白金脈の閃亜鉛鉱にはロケサイトの共生は見られず、智恵門脈、銀星脈の閃亜鉛鉱には最大20μmのロケサイトが、竜盛脈のサンプルの閃亜鉛鉱中には数μmのロケサイトが含まれていた。閃亜鉛鉱とロケサイトが共生部にはスズ石が入っていることが多く、インジウムとスズの鉱化作用は密接な関連があると思われる。インジウムが含まれているところは温度が高いとされており、延性、脆性破壊が起こる要因の一つとして温度が考えられるので、インジウムの産出状態が温度に大きく支配されていることが示唆される。