日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2013年年会
セッションID: S2-06
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S2:岩石―水相互作用
大陸衝突帯で見られる複数段階の塩素に富む流体活動と希土類元素に富む鉱物の挙動
*東野 文子河上 哲生サティシュ・ クマール土屋 範芳石川 正弘ジェフ・ グランサム
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抄録

東南極セール・ロンダーネ山地東部に産する泥質片麻岩は、大陸衝突に伴う高温変成作用時(600Ma)のClに富む流体活動を記録しており、その温度圧力条件は約800℃、0.8GPaであった。同試料は、Clに富む流体流入に伴い、LREE、Thが抜け、HREE、Zr、Yが添加されたことを示す微細組織を持つ。同山地中央部に産する変マフィック岩には、主たる面構造を高角で切る、ザクロ石と角閃石から成る小岩脈が貫入する。脈の中心から離れるにつれ、角閃石と黒雲母のCl濃度が下がることから、脈はClに富む流体流入によって形成されたと分かる。この流体流入条件は、壁岩が約690℃、0.9GPa以下の条件であった。Clに富む流体活動は、岩相を問わず、セール・ロンダーネ山地の東西200kmに渡り線状に分布し、変成ピーク期から後退変成期の複数段階にわたって起きているから、大陸衝突帯におけるメジャーな流体活動であろう。

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© 2013 日本鉱物科学会
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