玉髄や瑪瑙は非常に微細な石英粒子の集合体であるが,多量のブラジル双晶ラメラを含むことや,モガン石(moganite)との共晶,a軸伸長の結晶形態など,バルクの石英結晶とは異なる様々な特徴を有している。瑪瑙や玉髄についての光学的顕微鏡によるマクロな組織解析,ならびにTEMを用いたナノレベルでの結晶学的な解析は多くの研究が行われているが,これらの両者の結果を結びつける1µm-10nmの間の観察データが不足している。今回の研究では,この観察領域の組織データを補うため,電界放出形走査電子顕微鏡による観察をおこなった。観察の結果,玉髄や瑪瑙の組織は主に3つのタイプに大別される。これら3つのタイプの大きな違いは,ナノサイズの大きさをもつ一次粒子の集合で構成される二次粒子の組織を強く反映している。