抄録
クロミタイトはクロムの鉱床として重要であると同時に,その主要鉱物であるクロムスピネルは上部マントルにおける第4の鉱物であるが,その変形過程,特に流体−変形相互作用についての詳細は不明である.変形に伴う化学組成均質化について明らかにするため,南東ブルガリア・Golyamo Kamenyane蛇紋岩帯に産する変形したクロマイトを対象にSEM-EBSDを用いて研究を行った.これらは,角閃岩相における変成過程において,酸化した Fe3+に富む流体と反応しており,再平衡化に伴うこれらの反応により,動的再結晶と新しい核生成を伴う塑性変形が引き起こされた可能性があると示唆された.