2011年の福島原発事故による周囲の放射能土壌汚染の解決のためには、土壌中で放射性セシウム(Cs)がどのような状態で存在するかを明らかにすることが重要と思われる。本研究で我々は,実際の汚染土壌を実験室で再現するため,放射性同位体であるCs-137とIPオートラジオグラフィを用いて様々な粘土鉱物種を非常に低濃度(10-11~10-9M)のCs-137溶液へ同時に浸漬し、どの鉱物種にCs-137がよく吸着するのかを調べるという新しい吸着実験を行った。その結果、福島で採取した風化黒雲母が、他の粘土鉱物(同じ地域の未風化の黒雲母、モンモリロナイト、イライト、ハロイサイト、カオリナイト、アロフェン、イモゴライト等)に比べて極めて多くCs-137を吸着・固定することが明らかとなった。