抄録
間隙流体分布に対する結晶粒成長の効果を調べるため、ピストンシリンダー装置を用いて石英―水系における液相焼結実験を行った。実験条件は900°C、1 GPa、91–382時間である。出発物質は石英とゾルゲル法で合成した非晶質シリカの混合粉末を用い、流体源としてブルーサイトを用いた(流体量約0.7, 1.7, 3.7 wt.%の三段階)。実験の結果、焼結初期の段階で粒成長と過剰な流体量の間隙からの吐出しが起こったことが分かった。吐出しは192 hではほぼ収束しており、粒間に保持されていた流体量は約0.8 wt.%であった。また、初期流体量の大きい実験では、粒成長が明瞭に進行していた(保持時間192 hで0.7, 3.7 wt.%でそれぞれ25, 84 µm)。以上から、多量の流体の存在下では、流体の吐き出しは流体を介した溶解・析出によって粒成長とともに効果的に進行すると考えられる。