日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
セッションID: R1-P04
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R1:鉱物記載・分析評価
丹沢花崗岩体の多相流体包有物の析出結晶
*黒澤 正紀笹 公和石井 聰
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抄録
日本のMタイプ花崗岩起源の熱水の化学的特徴を検討するため、神奈川県の丹沢複合岩体のユーシン岩体に産する晶洞石英の多相包有物中の娘結晶をSEM–EDSで観察した。娘結晶の種類と組成には、熱水流体の酸化状態と化学的特徴が反映されることが多く、データが少ないタイプの熱水の特徴の検討に有用である。観察の結果、娘結晶には岩塩・カリ岩塩が多く、少量の塩化鉄・黄銅鉱・菱鉄鉱・方解石も認められた。娘結晶として硫化物はあるが、硫酸塩がないことは、流体形成時の硫黄の酸化状態が低いことを示唆する。鉄化合物が塩化鉄(FeCl2)と鉄炭酸塩主体で、鉄酸化物がないこととも調和的である。これらは、酸化状態がやや低いMタイプ花崗岩の熱水流体の特徴と考えられる。
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