抄録
本研究の目的は,キャリア教育実践に役立つ知見の提供に向け,発達障害のある高校生の就労準備教育に必要な学習内容を類型化した形で明らかにすること,学習内容間の相対的重要度の違いを明らかにすることである。文献調査により就労準備に関する学習内容の項目を抽出した後,各項目の重要度等を尋ねる質問紙調査を実施した。調査の回答は高等学校の教員103名(発達障害者の就労準備支援の経験者〔以下,支援経験者〕18名),特別支援学校高等部の教員110名(支援経験者70名),就労支援機関の支援者214名(支援経験者144名)から得られた。支援経験者の各項目の重要度評定に基づき因子分析を実施し,学習内容を類型化した結果,6因子を抽出した。各因子の重要度を回答者の所属機関間で比較した結果,3者間で共通して自分の職業能力や,自分に合った仕事について理解を深める学習内容の重要度が高く,このような内容を重視したキャリア教育の重要性が示唆された。