LD研究
Online ISSN : 2434-4907
Print ISSN : 1346-5716
知的発達に遅れのないASD児者の友人関係にかんする追跡調査
地域療育センターを幼児期から成人前期まで利用した12事例の場合
日戸 由刈本田 秀夫原 郁子藤野 博
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2017 年 26 巻 4 号 p. 464-473

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抄録
知的発達に遅れのない自閉スペクトラム症(ASD)児者の小学校期から高等学校期(高校期)までの友人関係の実態,および支援の有無との関係について,地域療育センターを幼児期から成人前期まで利用した事例を対象に,カルテ情報に基づき検討した。横浜市A区で一定期間に出生し,幼児期にB地域療育センターでASDと診断された12例(男7,女5)の5歳時点での平均IQは97.8であった。このうち7例では,小学校期から2例,中学校期から2例,高校期から3例が友人関係を形成していた。ASD児者では,定型発達児者よりも遅いペースで友人関係が発達すると考察された。高校期に特別支援学校に進学した5例全員に友人関係がみられたが,高等学校に進学した7例のうち友人関係がみられたのは余暇支援に継続して参加していた2例のみであった。学齢期の“切れ目のない支援”は,青年期以降のASD児者の友人関係に良好な影響を及ぼす可能性が示唆された。
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© 2017 一般社団法人 日本LD学会
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