2020 年 29 巻 1 号 p. 45-56
本研究では,小学生用の算数のカリキュラムに基づく尺度(算数CBM)を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。研究1では,小学1年生から6年生(N=1,969)に対して算数CBMを1年間各学期末に実施した。また,年度末に算数学力検査を実施して関連を検討した。結果,開発した算数CBMは時間経過に伴って得点が向上していた。さらに,算数学力検査と有意な関連が確認され,併存的妥当性および予測的妥当性が高いことが明らかとなった。研究2では,小学1年生から6年生(N=546)を対象として,算数CBMの再検査信頼性および代替形式信頼性を検討した。その結果,高い再検査信頼性と代替形式信頼性を備えていることが明らかとなった。本研究の結果から,開発した算数CBMはスクリーニングおよびプログレス・モニタリングとして機能しうるツールであることが示された。