抄録
人工林から自然林への再転換を考慮した森林の再配置戦略を設計するための手法として,モントリオール・プロセスの基準・指標に対応した持続的な森林管理に向けた広域ランドスケープデザインのための地域スケールゾーニング手法を提案した.提案したコンセプトに基づいて,茨城県北茨城市および高萩市にまたがる約18,500 haの流域を対象範囲として,実データを用いたゾーニングの実践を試行した.木材生産機能と生物多様性保全機能に着目し,対象流域を構成する80の小集水域に対して森林管理目的(木材生産,生物多様性保全および両者の調和)を設定するゾーニングを行った.木材生産機能に対して林地生産力および台風災害危険度を,生物多様性保全機能(特にγ多様性保全)に対してブナ優占林成立適性に基づく植生タイプを,それぞれ自然立地条件から各小集水域について評価してゾーニングの基準とした.試行をとおして,提案した地域スケールゾーニング手法が合理的かつ効率的な森林配置を設計するための意志決定支援ツールとして有効であることが確認された.