2017 年 21 巻 2 号 p. 111-120
歴代の日本景観生態学会長が今後の課題として挙げた「計画,市民参加,災害」というキーワードに対応する景観生態学とランドスケープ研究の論文成果の共通性と課題点を検証した.共通性としては,保全(保護)と利用(開発)の両方の視点から計画対象を捉える点,緑地環境保全への市民参加を肯定しつつも,その意義を評価する姿勢,災害を環境の再生や今後の計画のヒントとして活用する視点が確認できた.課題に関しては景観生態学では実際の社会実装と,その効果の検証が,ランドスケープ研究では,分野独自の原理とその応用が必要と考えられる.