2017 年 21 巻 2 号 p. 121-125
絶滅危惧沈水植物ガシャモクの北九州市の自生池での保全に向け,池底から60 cm深までの底泥コアを採取し,深度別に種子や殖芽の有無を調査した.その結果,池底から40 cmまでの底泥から種子が確認され,その多くは10~30 cmの層に含まれていた.それら種子には発芽力のあるものも含まれていた.そこで,池底から80 cm深までの底泥を20 cmごとの深度別に層化して採取し,撒きだし試験を行ったところ,20~40 cmの層からガシャモクが発生した.最初に確認された時点で発生個体はシュート状であったこと,発生後は旺盛に生育したことから,当該再生個体は殖芽に由来するものであると推測された.従って,自生池では,種子および殖芽から成る散布体バンクが形成されているものと判断された.