景観生態学
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原著論文
森林生態系多様性基礎調査(日本版国家森林資源調査)データを用いた環境省1/2.5万植生図の全国スケールでの精度検証
村上 拓彦田中 樹己
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2023 年 28 巻 1-2 号 p. 83-95

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抄録

森林生態系多様性基礎調査(日本版国家森林資源調査)データ(NFIデータ)を真値と仮定し,植生図が整備済みの範囲(2019年11月時点で整備済みであった2,112面)全てを対象に日本全体における植生図の図化精度を求めた.NFIデータと植生図を重ね合わせ,両者の一致の有無を調べた.森林と非森林で比較し,次いで針葉樹人工林とその他森林で比較を行った.植生図と比較するデータとして第3期(2009~2013年)の森林生態系多様性基礎調査のデータを用いた.植生図の凡例を用いて,森林・非森林ならびに針葉樹人工林・その他森林の分類を行った.植生図とNFIデータの一致度を定量化するために判定効率表とKappa係数を用いた.本研究の結果から,NFIデータを真値とした場合における植生図の精度(Kappa係数)は,森林・非森林において0.86,森林における針葉樹人工林・その他森林については0.59であった.平面直角座標系の系毎にKappa係数を算出したところ,相対的に精度の高いエリア,低いエリアが示された.本論によって植生図の精度検証を全国スケールで実施することができた.

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© 2023 日本景観生態学会
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