景観生態学
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野生動物の生息地の推定と現存植生図の利用
井本 郁子増澤 直
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2007 年 11 巻 2 号 p. 133-143

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抄録

土地被覆図や植生図をはじめとした自然環境情報図を使用して動物の生息地を推定し, 地図化することで自然環境の保全や土地利用の計画に反映しようという試みは世界的には欧米をはじめ, 各国ですすめられている.日本においても植生図の全国的な整備が1970年代より環境省を中心にすすめられ, その結果, 植生図が自然環境情報図の重要なテーマ図のひとつとして考えられるようになった.さらに1990年代半ば以降GISの利用とデータ整備が急速に進むと同時に, 動物の生息地を推定し地図化しようとする試みが, 様々な種や環境を対象に行われている.本論では各地での陸上動物を対象とした研究事例について, 植生図の縮尺や解像度, 凡例の取り扱い, 使用したデータなどについて項目ごとに, さらに評価の対象による違いについて整理した.これらの結果を踏まえながら, 応用場面での植生図の使用と植生図の課題について, 縮尺 (解像度) と更新頻度, 植生区分 (凡例) の統合と再区分, 面積・形状・隣接性などの解析, 全国的な整備と公開のあり方の4つの項目について考察した.

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© 日本景観生態学会
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