2019 年 10 巻 1 号 p. 61-67
脳腫瘍患者は認知機能障害を呈することが多く,生活の質を低下させる主たる原因となる.脳腫瘍は病変部位の局所症状を呈する.また脳腫瘍の悪性度が高いほど正常細胞が破壊され,脳浮腫が引き起こりやすく,認知機能に影響を与える可能性がある.認知機能障害に関与する治療として手術,放射線治療,抗てんかん薬やリハビリテーションなどが挙げられる.これらの治療が認知機能に与える影響については,先行研究ごとで評価バッテリーや評価時期が異なるため,系統的な比較は困難な状況である.認知機能の評価を行う意義として,患者の現状を把握する以外に手術の治療効果判定や,脳腫瘍の進行や再発の早期発見に有用である可能性がある.