保健医療学雑誌
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フィジーにおける非感染性疾患とエビデンスに基づいた理学療法に向けての現状と課題
中尾 学人 三田村 徳
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2022 年 13 巻 2 号 p. 92-100

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抄録

背景および目的:フィジー共和国(以下,フィジー)は,非感染性疾患(Non-Communicable diseases, NCDs)の発生率が世界で最も高い国の1 つである.NCDs の主な原因である喫煙や栄養価の低い不健康な食品の摂取,運動不足,過度の飲酒の4 つの生活習慣によって死亡する割合は,フィジーにおける全死亡の80%以上を占めている.NCDs 対策における理学療法士の役割は,根拠に基づいた運動療法などの介入を通じて,NCDs に関連する全てのリスク要因や死亡率を軽減することであるとされているが,根拠に基づいたNCDs 対策が現地人理学療法士によって提供されていないのが現状である.本稿では,フィジーにおけるNCDs の最近の動向や現地における理学療法士の現状について調査することを目的とした.

方法:NCDs や理学療法士の現状に関するフィジーの情報を文献検索にて収集し,課題を整理した.

結果と結論:フィジーにおけるNCDs の最近の動向として,不健康な食生活および身体活動量の低下がフィジーのNCDs による死亡率の高さと関連していた.現地の理学療法士の現状に関しては,効果的な理学療法が提供されていないことに起因した雇用機会の減少が課題であった.今後は,理学療法の効果に関するエビデンスの構築を図ることが,フィジー理学療法の発展のために重要である.

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