保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
13 巻, 2 号
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Original article
  • Tomoyasu Ishiguro, Toshihiro Kawae, Daisuke Iwaki, Yuki Nakashima, Ke ...
    原稿種別: Original article
    2022 年 13 巻 2 号 p. 49-53
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー

     This study aimed to examine the positivity rate of the abbreviated diagnostic criteria proposed by the Diabetic Neuropathy Study Group in Japan. The medical records of the participants were retrospectively examined and classified as DPN+ for diabetes with neuropathy, DPN- for diabetes without neuropathy, and NDM for patients without diabetes. After interviewing patients for subjective symptoms, we conducted vibration sensation and Achilles tendon reflex tests. The results showed that the mean value of vibratory sensation time was 8.3±2.0 seconds in the NDM, 8.5±2.3 seconds in the DPN-, and 5.9±2.3 seconds in the DPN+ groups. The DPN- group had a significantly longer vibratory sensation time compared to the DPN+. There were participants whose vibration sensing time, one of the diagnostic criteria, was less than 10 seconds, even in the NDM. Furthermore, participants were categorized into four groups based on age. The mean value of vibratory sensation time in DPN+ was significantly lower in NDM and DPN-, each all‐age groups. Except for the NDM group of 71 years or older, there was no age‐related decrease in vibratory sensation values. However, it has been shown that there are changes in neural mechanisms associated with aging, increases in sensory thresholds, and differences in vibratory sensation depending on the measurement site. It is necessary to accumulate more data to study the effect of aging on the vibration sensation and measurement site. In recent years, there have been many reports of diabetic neuropathy affecting motor function. Therefore, it seems necessary to include motor function in the physiotherapy evaluation of diabetic patients with neuropathy due to ADC.

原著
  • 東山 みどり, 田中 繁治, 渡辺 長
    原稿種別: 原著
    2022 年 13 巻 2 号 p. 54-61
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,タイ国バーンシートン市における60歳以上の高齢者の転倒率とその要因を明らかにすることであった.対象はノンタブリー県バンクルアイ郡バーンシートン市に在住する60歳以上の高齢者75名(男性:23名,女性:52名)とした.対象者の年齢の平均は70.7歳であった.方法として,転倒や運動機能に関するアンケートに加え,身体機能の測定や運動機能の評価を実施した.統計解析として,転倒率および社会人口学的要因における記述統計量を算出した.さらに,転倒経験の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施し,転倒の有無に関連する要因を分析した.統計学的有意水準は5%未満とした.本研究の結果,高齢者の下肢機能を総合的に評価するShort Physical Performance Batteryでは,50%以上が9点以下であった.また,対象者のうち転倒経験者は35名(46.7%)であった.転倒の発生場所は屋内の方が屋外よりも高い割合であった.転倒と独立変数との関連では,「膝・腰の痛み(オッズ比=5.08 and 6.40, p<0.05)」,「立ち上がり能力(オッズ比=4.10, p<0.05)」,「握力(オッズ比=0.83, p<0.05)」,「転倒恐怖感(オッズ比=2.22, p<0.05)」が統計学的に有意な変数として抽出された.これらの結果は,転倒要因に関する詳細なアセスメントおよび介入方法の検討が転倒予防に寄与するということを示唆している.

  • 濵野 友生, 村浦 広樹, 田中 繁治
    原稿種別: 原著
    2022 年 13 巻 2 号 p. 62-70
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー

    我が国の急速な高齢化は転倒者人口の増加をまねき,社会保障費の増大を含む社会的な課題となっている.近年,再転倒の予防や転倒後の活動性の向上を目的の一つとして,入院中の積極的なリハビリテーション介入が行われている.入院患者においては病棟内移動自立の早期獲得は重要だが,自立度の判断については明確な基準がない状態である.そのため,転倒リスクを把握し軽減を図ることは重要であると考えられる.高齢者の転倒に関連するリスク要因は外因性と内因性に分けて整理され,先行研究において重要な予測因子が示されている.外因性リスクに関しては医療職者による管理が重要な位置を占めているため,我々は本研究を開始する前の段階で入院患者に対して外因性リスクの軽減を図るための対策を講じた.このように外因性リスクを低減した条件下においても転倒の問題が解決に至ることはなく,内因性リスクによる転倒の発生が散見された.そこで,本研究では外因性リスクへの対策を講じた環境における入院患者を対象に,内因性リスクと転倒との関連について検討を行った.対象者は80 名で,後方視的に調査を実施した.多重共線性を考慮した上で,転倒の有無と潜在的な予測因子との関係についてロジスティック回帰式を用いて分析した.その結果,うつの有無が統計学的に優位な要因として抽出された.うつに関するスクリーニング検査と治療は,転倒予防を行う上で有効である可能性が示唆された.

報告
  • 藤田 裕子, 喜多 一馬, 小島 一範
    専門分野: 報告
    2022 年 13 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,リハビリテーション関連職(以下,リハ職)におけるジェンダーバイアスについてアンケート調査を行い,どのような種類のジェンダーバイアスがみられるかを予備的に調べることである.方法としては,国内の現役リハ職に対し,インターネット上でのアンケート調査を行った.設問は,基本的属性,独自に作成したジェンダーバイアスに関する18 の設問項目,ジェンダーや働き方に関する意見や体験談に関する自由記載欄とした.統計学的処理では,1)設問項目ごとの対象者の基本的属性間の群間比較,2)ジェンダーバイアスに関する設問における各設問項目間の相関,3)「男性」と「女性」という言葉以外が同内容の設問間における2 群間の差の比較を調べた.結果として,1)では,年代,所属,経験年数,同居家族においていくつかの設問項目で有意な差がみられた.2)では,男女間の大学院進学についての設問間に強い相関が,育児中の男女スタッフの急な休みに対する考え方の設問間に中等度の相関が見られた.3)では,2 群間に有意な差がみられた.自由記載欄では,全体としては男性・女性それぞれが感じた性別・カテゴリ分けされた他者からの心ない言葉や扱いに関する内容が多く記載された.これらから,リハ職は働き方やキャリア,研究会や学会参加,バイザー業務や指導係,大学院進学に対してジェンダーバイアスがあることが示唆された.

  • -認知度調査と事例検討-
    田中 康博, 田中 まゆ, 辰巳 寛, 田村 俊暁, 山本 正彦
    原稿種別: 報告
    2022 年 13 巻 2 号 p. 81-91
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー

    学術誌への投稿や学会への参加を執拗に催促するメール(Academic spam e-mails, ASEs)が国際的に問題となっている.その理由として論文掲載費や参加費は高額で,査読システムも崩壊している団体が多いことなどが挙げられるが,リハビリテーションや福祉領域におけるASEs の現状は不明である.

    本稿では,言語聴覚領域にも送信されるASEs の現状を把握し,言語聴覚士(Speech-language-hearing therapist, SLHT)らへの認識の強化を目的とし,58 名のSLHT にASEs の認知度,経験年数,学会と論文発表の有無などを聴取するとともに,SLHT に送付されたASEs を前向きコホート研究として収集し解析した.その結果,約8 割ものSLHT がASEs の存在を認知しておらず,この傾向は臨床経験が浅く,学会・論文において発表の機会が無い者に多いことが示された.また,SLHT であっても年間1,232 件ものASEs を受信することもあり,その存在は単なる手間というだけでなく,本領域の発展において決して無視できないと考えられた.ASEs の存在とその脅威を改めて認識し,本領域における教育と周知を早急に行う必要があると考える.

資料
  • 中尾 学人, 三田村 徳
    原稿種別: 資料
    2022 年 13 巻 2 号 p. 92-100
    発行日: 2022/10/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー

    背景および目的:フィジー共和国(以下,フィジー)は,非感染性疾患(Non-Communicable diseases, NCDs)の発生率が世界で最も高い国の1 つである.NCDs の主な原因である喫煙や栄養価の低い不健康な食品の摂取,運動不足,過度の飲酒の4 つの生活習慣によって死亡する割合は,フィジーにおける全死亡の80%以上を占めている.NCDs 対策における理学療法士の役割は,根拠に基づいた運動療法などの介入を通じて,NCDs に関連する全てのリスク要因や死亡率を軽減することであるとされているが,根拠に基づいたNCDs 対策が現地人理学療法士によって提供されていないのが現状である.本稿では,フィジーにおけるNCDs の最近の動向や現地における理学療法士の現状について調査することを目的とした.

    方法:NCDs や理学療法士の現状に関するフィジーの情報を文献検索にて収集し,課題を整理した.

    結果と結論:フィジーにおけるNCDs の最近の動向として,不健康な食生活および身体活動量の低下がフィジーのNCDs による死亡率の高さと関連していた.現地の理学療法士の現状に関しては,効果的な理学療法が提供されていないことに起因した雇用機会の減少が課題であった.今後は,理学療法の効果に関するエビデンスの構築を図ることが,フィジー理学療法の発展のために重要である.

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