抄録
アルツハイマー病(Alzheimer disease)は,今や認知症の約70%を占めると言われる病気で,超高齢社会を迎えたわが国では重要な位置を占める病気となっている.この病気は51 歳と若くして亡くなった認知症の患者Auguste Deter の脳組織をAlzheimer が銀染色で染め,神経細胞内と神経細胞間に特殊な変化を見出したことで命名された.この病名は余りにも有名であるが,Alzheimer その人に関しては日本ではそれほど知られていない.本稿ではAlzheimer の生い立ちから,数々の人々との出会い,そして死に至るまでを海外の文献を基に紹介する.