2018 年 9 巻 1 号 p. 19-24
日常の身体活動量と運動療法の効果との関連を明らかにするため,職業による分類を行って運動療法の効果を検証した.対象は職業が座業あるいは専業主婦で,BMI が25.0kg/m2以上の女性肥満患者34名(年齢58.7±8.1歳)である.職業が座業である者(座業群)と専業主婦である者(主婦群)に分けて6か月間の運動療法の効果を解析した.座業群(16名)はBMI,ウエスト周囲長,血圧が有意に低下した.主婦群(18名)ではBMI,ウエスト周囲長,空腹時インスリン値,HOMA-R,血圧が有意に低下した.主婦群では座業群と比べて1日全体の身体活動が多く,このことがインスリン抵抗性改善に繋がったもの推察する.肥満患者に対する運動療法では施設管理下でのプログラムだけでなく,それ以外の日常生活の身体活動量が運動療法の効果に関与することが示唆された.