沙漠研究
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原著論文
中国敦煌における異なる地表面がある地域のダスト放出量の評価について
杜 明遠汪 万福米村 正一郎申 彦波真木 太一
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2016 年 26 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

2004年3月25日~4月15日に,中国敦煌の異なる地表面状態にある3つの地点において,ダスト濃度をダストパーティクルカウンターで測定した.3測定地点間の距離はそれぞれ約10 kmであり,各地域の地表面状態は,ゴビ(石礫)沙漠,耕作裸地,アルカリ性潅木地であった.3測定地点において風向,風速,気温等の各気象要素も測定した.ダストの収束/発散量の定量化は3地域からの水平ダスト輸送量(水平ダストフラックス)の算定法で行い,地域平均のダスト放出量を評価した.その結果,ゴビ沙漠では風が強いので,水平ダストフラックス(水平ダスト輸送量)は3地点間で最も高かったが,耕作裸地でのダスト濃度は3地点間で最も高かった.地域平均のダスト発生としては,風が耕作地からゴビ沙漠に吹くときにのみ評価されることが明らかになった.これは,農業活動が中国敦煌地域のダスト放出に重要な役割を果たしていることを示唆している.

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© 2016 日本沙漠学会
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