沙漠研究
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小特集原著論文:逼迫する乾燥地の水資源とその対策
未利用資源を用いたフッ素処理資材の開発と性能評価
袋布 昌幹藤田 沙也京角 早織豊嶋 剛司高松 さおり間中 淳入江 光輝
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2017 年 27 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

本報では乾燥地における重要な環境問題の一つである地下水のフッ素汚染の対策を目指し,食品産業から発生する未利用資源である骨から得られる機能性資材のフッ素処理能力評価を行った.骨を用いた資材として,鶏骨を炭化した鶏骨炭(CBC),骨からゼラチンを取り出す際に発生するリン排水を処理して得られる第二リン酸カルシウム二水和物(DCPD)を対象とした.CBCは骨由来のリン酸カルシウムの一種である水酸アパタイト(HA)とコラーゲンが炭化した炭素分から構成されるが,その炭素分がフッ素除去に大きな影響を与えていることを示した.一方DCPDにおいては,炭酸カルシウムとのハイブリッド化により,従前の吸着材より多量のフッ化物イオンと反応して安定な鉱物であるフッ素アパタイト(FAp)を生成し,CBCと比べると重量比で10分の1,20分の1のコストと,高効率かつ低コストの水環境中のフッ化物イオンの処理が可能であることを示した.これらの結果を活用して,新しい処理資材の開発を通して乾燥地の水環境に貢献していきたい.

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© 2017 日本沙漠学会
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