本研究では、2022 年の⽣成 AI の急速な発展を受けて、東京⼤学が発表した⼤学声明に反映される教育観や学⽣像を探った。分析対象とした⼤学声明は、4 ⽉から5 ⽉にかけて発表された⼀般的な声明⽂、教員へのメッセージ、学⽣へのメッセージの計3 つである。物語批評と批判的談話分析の2 つの分析⼿法を⽤いて、これら3 つのテクストを分析した。結果として、東京⼤学が⽇本を代表する学府として、教育、倫理、尊重の重要性に重点を置きながら、⽣成AI が社会に与える影響について責任を負う姿勢が声明には⽰唆されていた。やみくもに⽣成AI に依存したり、その使⽤を禁⽌したりするのではなく、リスクに対する意識を⾼め、開かれた対話姿勢を保ちつつ、批判的思考と⾃⽴した思考をはぐくむ教育とそれらを⾝に付ける学⽣を求めていた。