抄録
近年の調査では、生成AIは多くの学生の学習環境の一部となっており、ライティングにおける生成AIの活用に関する研究は広がる一方で、リーディングにおける活用については未だ限定的である。本研究では、大学英語リーディング授業の予習において、生成AIの使用を認めた場合と認めなかった場合の効果を比較するとともに、学生が実際にどのように生成AIを活用していたのかを明らかにした。対象は、日本の私立大学で英語を専攻としない83名の学生で、同一の学生が生成AIを使用する条件と使用しない条件の両方で予習課題に取り組んだ。クイズの結果、期末試験の結果、予習時間、英文理解への自信といった量的データのいずれにおいても、両条件間に統計的に有意な差は認められなかった。質的データからは、学生が主に語彙確認、文レベルの意味確認、構文の説明といった限定的な支援を目的とした生成AIの使用がわかった一方で、より主体的な活用は少なかった。以上の結果から、生成AIはリーディングにおける補助的な足場となりうるものの、その有効性は、学習者がこれらのツールを戦略的かつ批判的に活用できるかどうかに左右される可能性があることが示された。