2012 年 2 巻 1 号 p. 89-107
この論文は、英語専攻学生対象のメディア英語のコースにおいて、スピーキングにおける流暢さを高めることを目指して、Nation の four stands of teaching の中の流暢さを高めるタスクのひとつ、4/3/2 (Nation 2006) を利用した授業展開の効果について述べた研究報告である。このタスクには、流暢さを高める基本的な要素である formulaic language units (形式的な表現)、automatization(自動化)および task repetition (タスクの反復)が含まれており、形式的な表現は繰り返し学習によって自動化しやすいため、スピーキングの流暢さの向上に効果があるとのことが、これまでの研究でその効果は実証されている。この研究は、週に 2 回行われるメディア英語の授業において一年に渡り 4/3/2 を用い、ストリーテリングによるインタビューテストと大学で行われる Kanda English Proficiency Testを用いて、その授業方法の効果を検証した。その結果、スピーキングの流暢さはその両方のテストにおいて統計的に有意な向上を示し、Nation の 4/3/2 というタスクの効果を実証することとなった。