インプラント治療後の原因不明の口腔症状に悩まされる患者がいる.口腔外科医は「心身症的な問題」と見做そうとするが,患者は頑として受け入れず,器質的原因に固執することが多い.一部の歯科医師は精神科に依存してこの問題を解決しようとした.しかし,精神科医には,口腔の愁訴を理解することは難しく,単なる精神科紹介では実効性を持たなかった.このような状況では,原因不明の口腔症状について患者によく説明し,話し合うことが重要である.口腔外科医には,インプラント患者の心理社会的因子について適切に評価する能力が求められている.本稿ではPIPCの概念とMUOSへの対応の仕方について紹介した.