2002 年 22 巻 3 号 p. 287-294
近年,医療機関ではいつでもどこでも患者情報の参照・入力ができる環境の構築が望まれている.より正確な情報を発生時点で利用したり入力したりする必要性の高まりと合理化の進展という観点から,すでにいくつかの医療機関においてベッドサイド端末もしくは無線を利用した移動体端末の導入が検討され,導入が進んでいる.
無線によるデータ通信はこれまで速度と価格の面で有線通信に劣っていた.また,電波を利用した通信機器しかなかったため,医用電子機器の電磁波障害問題が指摘されたこともあって,医療機関では無線LANの導入が著しく遅れていた.しかし最近,PHSの安全性とその許容範囲が確認され,また電波を利用した無線LANの一部についても規格法規に則ったものであれば安全に導入できることが確認された.これにより,無線LANの医療機関への安全な導入が可能となった.本稿では,無線LANを紹介すると共に,導入上の注意点について解説する.