医療情報学
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研究速報
診療科外来における「患者受付業務」の分析とその支援機能の検討
指田 直毅矢島 彩子小幡 明彦杉本 喜久永田 啓
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2004 年 24 巻 1 号 p. 117-124

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抄録

 近年,電子カルテなどの普及に伴い,これまでの煩雑な院内業務のIT化が急速に押し進められている.電子カルテ化により従来の紙カルテ管理や運搬作業,手書伝票による各種オーダなど大半の業務を効率化できる.しかしながら,その反面,現行電子カルテで想定される業務プロセスからの逸脱ケースが多い,あるいは想定範囲外の業務現場(例えば,診療科の患者受付窓口業務)では,必ずしも業務効率化の効果が期待できず,逆に業務員の作業負荷が増大してしまうとの指摘がある.本研究の目的は,このような現行電子カルテではカバーしてきれていない病院内業務に着目し,その現場における業務員の行動や思考過程を詳細に分析することで,真の業務効率化につながる効果的な支援システムの設計案を導出することにある.今回その第一ステップとして,診療科外来における「患者受付業務」を対象として,実際にそこで働く業務員の行動観察および分析を実施した.その結果,患者受付業務に従事する受付員が日頃利用している暗黙ルールや工夫などを含む業務プロセスの実態が表出され,その業務支援システムの設計方針を決定する上で見過されがちな重要知見を導き出すことができた.

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© 2004 一般社団法人 日本医療情報学会
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