2004 年 24 巻 1 号 p. 15-23
地域基幹病院である大学病院に紹介を受けた患者の診療情報を,紹介元医療機関から情報ネットワークを利用して参照できるシステムを開発した.あらかじめ登録した医療機関の医師より参照依頼のあった紹介患者について,大学病院担当医は参照を許可する診療情報の種別と期間とを病院医療情報端末上で選択すると,該当するデータが,病院の診療情報を二次利用できるデータベース(EMIR; Essential Medical information Integrated Retrieval system)から外部参照用のHL7を用いた地域連携サーバに保存される.紹介元医療機関からは,インターネットもしくはダイヤルアップでこの地域連携サーバにアクセスし,Webブラウザで認証を経て,病院IDを変換した参照用患者IDを用いて該当データを検索することができる.認証にはワンタイムパスワードを利用できるシングルサインオンツールを用いた.Webで参照できるデータは,紹介元医療機関に電子カルテがあればXMLで書き出し,そこに取り込むことが可能であるため,シームレスな医療連携に大きく寄与すると期待される.