医療情報学
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原著
医療情報学実習発表会におけるグループ間およびグループ内の評価についての数量化
安田 晃柳樂 真佐実平野 章二花田 英輔津本 周作
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2004 年 24 巻 1 号 p. 25-34

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抄録

 医学教育においてテュートリアル教育の重要性が指摘されているが,その教育効果の評価を定量的に行い,教育内容をより良いものに改善してゆくプロセスについての検討はほとんどなされていない.本研究では,医療情報学実習発表会をテュートリアル教育の評価の一例として学生とテュータの評価シートを用いて:(1) 学生の評価基準はテュータのそれと類似しているか,(2) 学生の評価ではどのような主成分がどの程度抽出されているか,そして得られた評価から類似性を示すグループを探索し,各グループ間の相対的な評価ではなく,各グループが評価されたグループ固有の絶対的な特徴について統計学的手法を用い,定量的に明らかにできるか検討した.その方法として評価シートから得られたデータに,順位相関,対応分析,クラスタ分析および積差率相関を適用し,テュータと学生の評価の特性について調べた.解析の結果,学生とテュータの評価にはどの項目にも相関が認められ,学生の評価だけでも実習の評価が可能であることが示唆された.そして学生の評価と各グループの双対関係および類似性の多次元解から,各グループは評価が高いかそれ以外の2極化している様子が表れた.加えて,評価の低いグループでも得意な項目を定量的に示すことができた.これらのことから次年度以降の実習に役立てるための材料が得られた.

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© 2004 一般社団法人 日本医療情報学会
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