医療情報学
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原著
独居高齢者のための自動通報システムの開発と運用
品川 佳満岸本 俊夫太田 茂
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2006 年 26 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

 少子化や核家族化が進み,家族や親族が高齢者を見守ることが困難となっている現在,独居高齢者の異常を検知し通報するシステムの必要性は高い.そこで我々は,焦電型赤外線センサを利用し,日常の様子とは異なった状態を検知し,安否確認を促す通報メッセージを家族・親族や隣人に自動的に送るシステムを開発した.通報発信のトリガーとして,同じ部屋に長時間滞在している状態を検出する「滞在時間異常」と全センサが長時間反応しない状態を検出する「無応答時間異常」という2つの指標を用いた.4名の独居高齢者による長期間の運用実験を行った結果,週1~2回程度の通報メッセージが発信されていた.被験者の健康状態の異常を実際に検知した事例は得られていないが,いつもとは違う行動状態を検知し家族に安否確認メッセージを送信することで,本システムが離れて住む家族や親族にコミュニケーションの機会を提供し不安感を軽減させていることを明らかにした.

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© 2006 一般社団法人 日本医療情報学会
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