医療情報学
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原著
特定健康診査/保健指導時代に対応する日本型Disease Management事業の開発
中島 直樹小林 邦久井口 登與志西田 大介田中 直美布川 圭子副島 秀久高柳 涼一名和田 新
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2007 年 27 巻 1 号 p. 47-55

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抄録
 増加し続ける糖尿病やメタボリック症候群などの生活習慣病予防対策として,厚生労働省は2008年度から40歳~74歳までの国民に対して特定健康診査・保健指導制度を実施することを決定した.つまり保険者による費用負担/データ管理で,最大5700万人に対して毎年定まった項目の健診,保健指導を行うことになり,そのデータは標準的な形式で蓄積・活用される.我々は2002年から,個別性に対応するクリティカルパスを中核技術としたアウトバウンド・コールセンタによる糖尿病2,3次予防Disease Management研究開発事業「カルナ・プロジェクト」を続けてきた.今回の法令をきっかけに,2006年度に生活習慣病1次予防プログラムを開発した結果,保険者から特定健康診査・保健指導業務を受注し,糖尿病に関しては1次から3次予防までのシームレスなDisease Managementサービスを提供する体制を構築し得た.構築にあたり重視した点は,①事業規模が拡大した際の質保証(法令の規定内容に沿ったアウトカム指向型クリティカルパスの開発,業務アルゴリズム化,IT化の推進),②個別性を重視したサービス提供(個別性対応クリティカルパスや対象者の好みに合わせたコミュニケーション手段),③法制度への対応(医療関連法や個人情報保護法),の3点である.複数の企業健康保険組合等と連携して約300人規模で実証実験を施行中であるが,初期面談前後における短期の生活習慣の変容を調査したところ食習慣を中心に良好な結果を得た.2007年度末までに医療アウトカムおよび事業モデルの検証を行う予定である.
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© 2007 一般社団法人 日本医療情報学会
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