抄録
わが国の看護中間管理者に必要となる系統だった情報処理能力とその教育を検討するため,電子カルテ等コンピュータが導入されている施設の中間管理者およびスタッフナースを対象に質問紙調査を行った.情報処理能力を問う項目は,Staggers らの示した看護師の 4 つのレベル別のリストの中から,わが国の状況にも当てはまる 70 項目を用いた.背景要因としては,①卒業した看護基礎教育課程の種類,②業務以外のコンピュータの所有の有無,③コンピュータ使用上の助言者の有無,④コンピュータを得意と思っているか,⑤導入システムに慣れたかどうか,を調査した.5 病院 522 名の臨床看護師から回答を得,522 名を中間管理者 114 名,29 歳以下のスタッフナース 248 名,30 歳以上のスタッフナース 160 名の 3 つの群に分け,群間の有意差を検定した.その結果,コンピュータスキル 48 項目中 35 項目,情報の知識スキル 22 項目中 21 項目と多くの項目で中間管理者が有意に習得していた.中間管理者の習得していたコンピュータスキル 30 項目に関して背景要因との関連を見た結果,業務以外のコンピュータの所有,システムへの慣れが習得に有意に関連していた.コンピュータスキルに関しては,日常でのコンピュータの使用や,導入されたシステムをよく利用し慣れることによって身につく可能性が高く,情報の知識・スキルの項目より教育の必要性が相対的に低いことが示された.