医療情報学
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原著
札幌市医師会「入退院サポートシステム」に対する最適マッチングの応用に関する考察
但野 友美大内 東
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2009 年 29 巻 1 号 p. 19-29

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抄録

 近年,医療法の改定に伴い,医療の機能を分化し患者を治療の段階によって適切な病床に転床させることが望まれている.札幌市医師会は,患者の転床先の決定を支援するシステムとして「入退院サポートシステム」を運用している.
 本稿では,現行システムのマッチング方法について問題点を明らかにし,患者と病床の割当を完全二部グラフの最適マッチング問題として扱うことで解決する方法を提案する.提案手法では,患者・病床の登録時に用いられる項目を基に,各項目の相対的な重要さを表す重要度と,各評価項目について患者の心身状態像と病床機能が一致する度合いを表す適正度を導入することにより,患者と病床が適する度合いを定量的に評価する.
 実データを用いた実験を行い,提案システムの有効性検証を行った.結果,適正度と重要度を導入することにより,患者・病床の適する度合いを定量的に評価することができ,最適マッチングを解くことが可能であることが判明した.

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© 2009 一般社団法人 日本医療情報学会
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