医療情報学
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原著
フィールドワーク技法による病棟看護業務の調査に基づく電子カルテシステムの利用状況評価—電子カルテシステム導入前後の業務実態の比較から—
阿部 祝子西村 治彦三好 亮石垣 恭子稲田 紘中島 健次中村 亜紀石垣 一司水上 ちえみ山田 泰子楠岡 英雄
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2009 年 29 巻 1 号 p. 3-18

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抄録

 本研究は,オーダリングシステム下と電子カルテシステム下の病棟看護業務を比較し,その変容から電子カルテの利用状況について評価するものである.インタビュー,業務張り付き観察,事後Q & A,フォローQ & Aを含むフィールドワーク技法を用いて,同一病棟でのシステム更新前後における看護業務を調査し,その実態を把握した.その結果,業務変容が認められたタスクは30%であった.それは電子カルテ導入により紙カルテの準備・整理などのタスクの削減,注射時の患者認証作業の新たな発生,記録と情報伝達に関するタスクの使用媒体の変化によるものであった.その内容からは注射における患者認証機能や入退院時の各種入力支援機能など,電子カルテで十分にサポートされていない側面も明らかになった.本取り組みによって,病棟看護業務の電子カルテの利用に対して,ユーザビリティ向上をめざす人間中心設計で重要とされる「利用の状況」の把握が実現できた.

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© 2009 一般社団法人 日本医療情報学会
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