2009 年 29 巻 2 号 p. 53-61
標準化技術のIHE ITIテクニカルフレームワークを活用して脳卒中地域連携クリティカルパスシステムを構築した.脳卒中医療では治療を複数施設で分担して行うため,診療情報を相互に共有したいとの要望が強く,現在各地域で地域連携クリティカルパスの導入が進んでいる.本システムは,各医療施設を閉域のセキュアネットワークで繋ぎ,中央に診療文書の所在を管理するレジストリサーバを配置した構造であり,診療文書様式,情報交換手順の標準に準拠している.特徴は,①欧米で開発されたIHE ITIをわが国で先行採用したこと,②レジストリシステム上にアクセス制御とメッセージ通知機能を実装したこと,③ CDA R2版脳卒中連携診療文書様式を開発したこと,そして,④ XML形式の診療情報をCDAに変換するツールを開発したこと,の4点である.本システムを愛知県内31医療施設で約1年間運用し,その中でのシステムの有用性と問題点を踏まえ,施設間医療情報交換システムの課題について考察する.