医療情報学
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原著
チームケアの知識流通支援システムの開発と評価—在宅ケアサービス記録の電子的共有に基づく情報連携—
矢口 隆明岩田 彰白石 善明横山 淳一
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2009 年 29 巻 2 号 p. 63-73

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抄録

 近年の急速な少子高齢化が進むわが国では在宅ケアのニーズが急激に高まっている.とくに,2011年には介護療養型施設の廃止や医療療養型施設の大幅削減が決定され,「施設」から「在宅」重視の政策転換もその要因である.それに対して介護事業者側は,介護従事者の慢性的な人手不足・低報酬などに起因して人的サービスの品質維持に不均衡が生じている.介護サービスでは,医療・介護・福祉分野の多様な専門職により多地点で分散的にサービスが提供されるために,多職種協働(チームケア)による従事者間の迅速な知識流通がサービス維持に求められる.そこでわれわれは,介護サービスの品質維持と向上を目指したチームケアの実践を支える情報連携と知識共有のための知識流通支援システムを開発した.その知識流通の重要な情報源泉としては,介護現場における利用者の経時的な介護現場知(暗黙知)を現行の介護サービス記録を紙文書で収集して電子化する「ケアカード方式」を考案した.そして介護現場で実証を行い本システムの有効性を検証した.

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© 2009 一般社団法人 日本医療情報学会
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