医療情報学
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29 巻, 2 号
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原著
  • 香川 正幸, 大林 正晴, 青木 英博, 杉下 明隆, 森田 嘉昭, 増田 忠司, 鈴木 哲, 松井 岳巳, 水野 正明, 吉田 純
    2009 年 29 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/03/06
    ジャーナル フリー
     標準化技術のIHE ITIテクニカルフレームワークを活用して脳卒中地域連携クリティカルパスシステムを構築した.脳卒中医療では治療を複数施設で分担して行うため,診療情報を相互に共有したいとの要望が強く,現在各地域で地域連携クリティカルパスの導入が進んでいる.本システムは,各医療施設を閉域のセキュアネットワークで繋ぎ,中央に診療文書の所在を管理するレジストリサーバを配置した構造であり,診療文書様式,情報交換手順の標準に準拠している.特徴は,①欧米で開発されたIHE ITIをわが国で先行採用したこと,②レジストリシステム上にアクセス制御とメッセージ通知機能を実装したこと,③ CDA R2版脳卒中連携診療文書様式を開発したこと,そして,④ XML形式の診療情報をCDAに変換するツールを開発したこと,の4点である.本システムを愛知県内31医療施設で約1年間運用し,その中でのシステムの有用性と問題点を踏まえ,施設間医療情報交換システムの課題について考察する.
  • 矢口 隆明, 岩田 彰, 白石 善明, 横山 淳一
    2009 年 29 巻 2 号 p. 63-73
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/03/06
    ジャーナル フリー
     近年の急速な少子高齢化が進むわが国では在宅ケアのニーズが急激に高まっている.とくに,2011年には介護療養型施設の廃止や医療療養型施設の大幅削減が決定され,「施設」から「在宅」重視の政策転換もその要因である.それに対して介護事業者側は,介護従事者の慢性的な人手不足・低報酬などに起因して人的サービスの品質維持に不均衡が生じている.介護サービスでは,医療・介護・福祉分野の多様な専門職により多地点で分散的にサービスが提供されるために,多職種協働(チームケア)による従事者間の迅速な知識流通がサービス維持に求められる.そこでわれわれは,介護サービスの品質維持と向上を目指したチームケアの実践を支える情報連携と知識共有のための知識流通支援システムを開発した.その知識流通の重要な情報源泉としては,介護現場における利用者の経時的な介護現場知(暗黙知)を現行の介護サービス記録を紙文書で収集して電子化する「ケアカード方式」を考案した.そして介護現場で実証を行い本システムの有効性を検証した.
研究速報
  • 三田 岳彦, 三上 史哲, 岡田 美保子, 三田 勝己, 岡田 喜篤, 安藤 きよみ
    2009 年 29 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/03/06
    ジャーナル フリー
     本研究では,特別支援学校で実施されている「個別の指導計画」における実態調査を国際生活機能分類(ICF)の視点から見直し,現状と課題を明らかにすることを目的とした.対象は某特別支援学校(知的障害)在籍の児童生徒202名であった.分析では,個別の指導計画:実態表の記述内容をICFの構成要素(心身機能・身体構造,活動,参加,環境因子)およびその第1レベルに分類し,全学部および各学部の児童生徒に対する記入率を求めた.その結果,心身機能・身体構造に該当する実態の記入の少ないことが明らかにされた.活動に関する記入率は構成要素でほぼ100%であり,第1レベル項目でみると9項目中6項目が約70%以上の記入率を示した.また,それらは学部(小学部,中学部,高等部)の進級に伴って増加傾向がみられ,いずれの学部においても概ね60%以上の高い記入率を維持した.参加に該当する記入率は60%であったが,第1レベル9項目中2項目のみを対象としたものであった.環境因子ではその記入率が86%であり,第1レベル項目も5項目すべてに該当する記入が認められた.しかし,その記入率は3項目が約50%,2項目が約10%と項目間での差が大きかった.本研究結果は個別の指導計画においてICFの観点から児童生徒の実態を総合的に把握することが有用であることを示唆した.
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