医療情報学
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原著-技術論文
健康危機情報の及ぼす社会反応の新聞報道量を指標にした定量分析の試みと比較
高岡 志帆尾花 尚弥濱田 美来植原 慶太今村 知明
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2009 年 29 巻 6 号 p. 255-264

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抄録

 健康危機が発生した際の社会反応は,危機管理に携わる行政機関,企業,学識者等の予想に反して拡大することが多く,その状況を的確に把握する必要性がある.この反応の大きさを表す指標として,筆者らは,「新聞報道量」が最適な指標の一つであると考え,過去の研究においてそれを用いた指数を考案した.
 本研究では,近年の主要な健康危機事件に関する新聞報道について,社会反応指数を用いて定量化した.また,これらの指数を比較し,各事件の社会反応の特性を分析した.その結果,感染症や食品に関する健康危機事件の値が高く,医療事故等の専門的な内容を含む健康危機事件の値は低い傾向があった.さらに,報道が継続する感染症関連事件と医療関連事件については,報道期間と反応の大きさで逆の傾向が見られた.国民にとって,より広範に影響する健康危機事件に対する反応が高くなる可能性が示唆された.

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© 2009 一般社団法人 日本医療情報学会
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