抄録
病院と地域の薬局とを双方向に直接連携する電子処方せんネットワークシステムを開発した.開発したシステムは,香川県にある大学病院から地域の薬局へのデータセンターを介したインターネット経由の医療情報相互伝送である.薬局の薬剤師は,HPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)のユーザ認証を用いて,データセンター内サーバに保存された,処方,病名,検査データ,医師コメントを確認でき,病院の医師らは,薬剤師が入力した,処方変更内容,後発医薬品名,副作用発現状況,薬剤師コメントを,電子カルテ端末から確認できる.このような病院の医師らと薬局の薬剤師との連携強化は,より有効で安全できめ細かな医療を可能とする.薬剤師のグループインタビューの結果から,システムの普及には,薬剤師の理解,医師・薬剤師の相互信頼,患者・社会の理解,が必要であることがわかった.