抄録
【目的】事前予測に基づき,二基幹施設間波形情報共有必要性の程度およびMFER心電図の実用性について検証した.
【方法】1,500台のHIS端末にViewerを搭載し,MFER波形情報リポジトリを介して両施設の波形情報を参照する方式とし,2009年1月より1年間,リポジトリへの全アクセス件数を調査した.あわせて端末管理台帳や電子カルテ記載等からの情報も確認した.
【結果と考察】相互参照件数は約60∼70件/月であった.循環器系からのアクセスは開始後増加し,3カ月以降では全体の半数弱を占めた.他診療科からは30∼40件/月のアクセスがあり,多くは心・循環器疾患患者の担当医や指導医,循環器医から他科診療依頼によるものであった.合同医局端末群からは一定のアクセスがあり,半数はクリニカルクラークシップ学生によるものであった.調査後半からは診療部門や自施設データ参照での利用がみられた.以上のように,多岐に亘る活用シーンが明らかとなった.今後の標準波形プロトコルを用いた診療手順・手続きの標準化に際しては,これらの幅広い利用形態を考慮した業務ユースケースを検討する必要がある.