本研究では,ICUにおける医師の指示を起点とした看護師の「診療の補助」業務を,申し送りも含めて,フロー図として可視化した.これを利用して1年間に報告されたインシデント178件から「診療の補助」に関する114件を抽出しマッピングを行った.
その結果,『指示』を起点とする看護師の診療の補助業務は,『指示受け』『準備』『実施』『記録』『観察』『完了』および『申し送り』というプロセスから構成されていた.これらの項目にインシデントをマッピングさせた結果,すべてのインシデントを看護行為と関連させた形で再分類が可能であった.また,医師の指示内容は,注射,内服,検査,ME機器の設定,水分管理,栄養,輸血,安静度,リハビリテーション,透析,入退室,他科受診であり,『申し送り』ではこれらが伝達されるとともに,現場での持続注射やカテーテル類の確認行為が実施され,これはダブルチェックとなっていた.