2018 年 38 巻 2 号 p. 115-124
これまで医療情報の統計において,問診票を研究者が1枚ごとに手作業で集計する必要があり,問診票から患者の主訴を反映した統計は行いづらかった.これらの解決方法として,iPadなどのタブレット端末を利用した電子問診票が使用されてきているが,外来患者の多くは高齢者でありタブレット端末の使用が困難である.問題解決のために,従来どおり,患者は紙の問診票に記載し,看護師がスキャナでスキャンし,記載した内容を,OCR技術および画像解析技術を用いてテキストデータ化するシステムを民間病院にて開発・検証した.本システムによって,電子カルテ上の一次利用の支援に加え,研究者の二次利用の効率化が図れた.導入病院においては問診データの二次利用により,医療情報の学術統計などに利用できることを実証できた.また,電子カルテの大規模な改修を伴わずに,既存電子カルテに追加する形で,容易に導入できることも,本システムの利点と考える.