2021 年 41 巻 1 号 p. 17-28
医療記録は,医療施設で管理すると,一人の患者の1つの疾患に関する記録であっても分断されることになる.この問題を解決するためには,Personal Health Record(PHR)の構築が望ましい.PHRを運用するためには,クラウド上に強力なセンター機能が必要となり,大きな費用負担が生じるが,民間事業者がこれを担う場合に,そのビジネスモデルが課題となる.そこで,個人の信託を受けて個人の医療情報を預かり,データの活用を促す医療情報銀行を中心とするPHRのアーキテクチャを検討した.医療データの利用について,医療での利用(一次利用),医療以外のヘルスサービス利用,研究等での二次活用に分類し,それぞれに適切な利用を促し,受益者から支払いを受けるモデルを考案した.阪大病院にて産科の患者を対象としてPHRサービスを試行したところ,患者からは好評であった.この経験を踏まえながら,本事業の展開を目指している.