顎顔面補綴
Online ISSN : 2435-0389
Print ISSN : 0389-4045
原著
舌欠損患者のデンチャースペースの形態的評価
吉 志元隅田 由香服部 麻里子大林 尚人倉林 亨谷口 尚
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2016 年 39 巻 2 号 p. 60-67

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抄録

要旨:本研究の目的は,下顎無歯顎患者において,舌欠損を有する患者と舌欠損が無い患者を対象に,デンチャースペースの形態を評価することである.
被験者群は舌欠損を有する下顎無歯顎患者6名,コントロール群は舌欠損が無い正常下顎無歯顎患者7名とした.デンチャースペースの印象採得にはピエゾグラフィー法を用いた.ピエゾグラフィー印象体を,コーンビームCTにてスキャンしSTL(stereolithography)データ形式に変換して保存し,ピエゾグラフィー印象体の以下の要素を計測した.:1)咬合平面上における頰舌方向の印象体中心点および咬合平面への顎堤頂からの投影点,2)2点間の距離;咬合平面上における印象体舌側面および設定した中心線により定義された左右の面積を計測し,計測値により決定した大面積と小面積の比率を計算した.得られた2点間距離および面積比率のそれぞれをMann–Whitney U testを用いて2群間で比較検討した.
計測項目の比較検討した結果より,下顎無歯顎患者において,舌欠損を有する患者と舌欠損が無い患者では,デンチャースペースの形態が異なることが示された.
本研究の結果より,舌欠損患者における全部床義歯治療では,デンチャースペースを評価し,義歯形態へ反映させることが重要である可能性が示唆された.

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© 2016 一般社団法人日本顎顔面補綴学会
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