日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: C-33
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C:岩石・鉱物・鉱床学一般
高温高圧下における金属鉄と珪酸塩の反応関係
*近藤 忠大谷 栄治境 毅平尾 直久久保 友明亀掛川 卓美
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抄録
 地球の核-マントル境界は珪酸塩と溶融鉄の接する地球内部最大の不連続面である。地震学的には腸低速度層や水平方向の大きな不均質が認められる領域である。これまで様々な手法で精力的に行われてきた高温高圧実験の結果より、境界域(D"層)では物理的な性質の変化だけでなく、様々な化学反応が起こっていることが予想されている。近年、SiO2やAl2O3等の単純酸化物と鉄が高温高圧下で反応関係に有ることが実験的に示されており(Dubrovinsky et al, 2001,2003)、実際のD"層ではさらに複雑な反応が予想されるだけでなく、核への様々な元素の移動が考えられる。また、これらの反応関係は初期地球の核形成過程でも重要な役割を果たしたと考えられる。本研究では実際の下部マントル鉱物と金属鉄との反応を想定し、更なる他成分系での高温高圧実験を行ったのでその結果を報告する。出発試料として珪酸塩側には合成したパイロープガーネットとMORB組成ガラスを、また金属側には純鉄(3N)を用いた。高温高圧実験はレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを使用した。生成相の同定には高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設のBL-13AにおいてX線その場観察実験を行った。圧力はルビー蛍光法、温度測定には輻射温度計を用いた。レニウムガスケットの試料室に上記の珪酸塩粉末と約10ミクロンの金属箔を封入し、目的の圧力まで加圧後、鉄の融点前後でそれぞれNd:YAGレーザーで数十分加熱を行い反応させた後、生成相を調べた。実験は約60 GPaまでの圧力で行った。鉄の融点以下の反応生成物としてはパイロープガーネットの場合、アルミナスペロブスカイトとコランダムが出発相に加わり、MORBガラスではMg-ペロブスカイトとCa-ペロブスカイトおよび僅かなスティショバイトが観察された。この結果はこれまでに報告されている相関係とほぼ一致しているが、Knittle&Jeanloz(1991)の報告にあるようなペロブスカイトが鉄と反応したときに生成するヴスタイト系の分解相は確認されなかった。一方、鉄の溶融温度以上(約3000-3500K: 測定温度だけでなく試料の組織変化からも溶融を確認)では、一部の試料に上記以外の弱い回折線が得られているが、相の同定には至っていない。しかしながらこれまでの我々の行った純粋なペロブスカイトと鉄の反応でも鉄の融点以上の条件で溶融鉄中にSi等の元素の溶解が認められる事から、他成分系においても鉄の融点以上で何らかの反応が起こっている可能性がある。講演ではいくつかの回収試料に関しての詳しい分析結果についても報告する予定である。
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© 2003 日本鉱物科学会
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