日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G6-04
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G6:岩石・鉱物・鉱床学一般
高枯渇度かんらん岩の微量元素濃度
*石丸 聡子荒井 章司石田 義人
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抄録
 マントルかんらん岩では,マグマ成分に枯渇するに従って微量元素などのインコンパティブル元素に乏しくなる。カムチャツカ弧南東部に位置するアバチャ火山では,非常にマグマ成分に枯渇したマントル捕獲岩が産することが知られている(Arai et al., 2003)。岩石種としては,単斜輝石に乏しいハルツバージャイト(Fo=90-92,Cr#[=Cr/(Cr+Al)原子比]=0.5-0.7)である(単斜輝石のモードは1vol.%前後)。一般的なスピネルかんらん岩では,インコンパティブルな微量元素(以下,単に微量元素)のほんとんどは単斜輝石に含まれ,全岩の微量元素組成の特性は単斜輝石の組成により決定される。一方,アバチャ火山のハルツバージャイトでは単斜輝石と全岩での微量元素パターンが一致しない。単斜輝石はHREEにエンリッチした緩やかな左下がりのREEパターンを示すのに対し,全岩ではフラットからややLREEにエンリッチしたパターンを示す。ICP-MSにより決定された全岩の微量元素の濃度は,モード組成から計算して得られたものに比べて濃度が高い傾向(約5-10倍)にある。このことは,アバチャ火山のかんらん岩捕獲岩は,単斜輝石以外にも微量元素を貯蔵している領域を持つことを示している。 アバチャ火山のかんらん岩捕獲岩は,様々な度合いで交代作用を受けており,かんらん石を置換する斜方輝石が形成されている。また,それに伴って二次的な単斜輝石や角閃石,非常にシリシックなガラスが存在している。ガラスや角閃石も,微量元素の貯蔵庫として非常に重要である。特に,シリシックガラスは一般的にLREEにエンリッチしていることが知られている。また,結晶粒界にも微量元素が濃集していることが報告されている(Suzuki, 1987; Hiraga et al., 2002, 2003)。実際に,かんらん石の結晶粒界では,若干ではあるがCeやSrなどの微量元素に濃集していることが確かめられた。 アバチャ火山のように,かんらん岩でも単斜輝石をほとんど含まず非常にメルト成分に枯渇している場合,そのバルクでの化学組成を支配するものは単斜輝石に限らず,その他の成分,特に,結晶粒界の効果を考える必要がある。
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© 2004 日本鉱物科学会
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